行方不明になったり、長期間外国に滞在することになったりして、これまでの住所や居所を離れてすぐに帰る見込みのない者を、民法上不在者と呼んでいます。

不在者について法定代理人がおらず、また財産の管理人が置かれていない場合には、この不在者の財産をどのように管理するかという問題が発生するので、民法は25条から29条に規定を設けています。

不在者が管理人を置かなかった場合には、利害関係人または検察官の請求によって、家庭裁判所が管理人を選任するなど財産の管理に必要な処分を命じることができます。

さて、この不在者管理人の選任ですが、一から家庭裁判所が決めるのではなく、不在者管理人の選任を申し立てた人が挙げた不在者管理人の候補について、その人物が適切かどうかが判断されています。

不在者管理人に資格は必要ありませんが、不在者の財産を管理するための職務を適切に行える必要があります。そこで、裁判所は不在者との関係や利害関係の有無などを考慮して判断しているのが通常です。もっとも、場合によっては弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることもあります。

不在者管理人ができる行為は、原則として権利登記や時効中断などの保存行為、預金や不動産の賃貸などの利用行為になりますが、家庭裁判所の許可があればそれ以上のこともできます。したがって、家庭裁判所はそのような権限を与えるにふさわしいかどうかを判断して、不在者管理人の選任を行っています。